理療科けんこう通信11月号
理療科けんこう通信 2024年10月号
編集・発行 福島県立視覚支援学校 理療科
1 表紙
理療科紹介動画 YouTubeで公開中
是非ご視聴ください
(卒業生にスポットを当てています)
卒業生TSさんの写真(2枚)
https://www.youtube.com/watch?v=_L9QjtVHfic(「福島県立視覚支援学校」で検索を)
2 今月のツボ
「乾燥による咳・肌トラブル対策に!」
尺沢(しゃくたく)
取り方:肘を曲げたときにできるシワの上で、少し肘を曲げたときに浮き出る筋(上腕二頭筋腱)の外側にとります。
11月に入り、だんだんと冷え込んできましたね。体に不調を与える原因の一つに「邪気(じゃき)」と呼ばれるものがあり、体の外から影響を与える邪気を「外邪(がいじゃ)」といいます。季節や気候の変化も外邪となることがあり、今の季節は特に「燥邪(そうじゃ)」と呼ばれる外邪に影響を受けやすくなっています。「燥邪」は咳が出たり、肌が乾燥したり、呼吸器や皮膚のトラブルを招きやすいといわれています。今月のツボを押して、ぜひ燥邪対策していきましょう!
効果的なツボの押し方
・痛みを感じるような強い押し方はせず、「気持ちいい」と感じる圧で押しましょう。
・体の右側に不調があるときは右側のツボを、左側の不調の場合は左側のツボを。
3 トピック
「漢方薬って? 鍼灸とどう違うの?」
現在では病院でも漢方薬が処方されるケースが多いかと思います。
(1)漢方薬の保険適応の経緯
医療機関では多くが健康保険適応の医療ですが、医療行為ごとにそれぞれの項目に対応した点数(診療報酬)が決められています。
日本の国民皆保険の制度は1961年に始まりましたが、当初は漢方薬は保険適用になっていませんでした。しかし、その後、当時の日本医師会会長だった武見太郎の強い働きかけによって、1967年に漢方薬が薬価収載され、1976年から健康保険の適用が開始されました。
現在では148種類が承認されていますが、漢方薬も他の薬と同様、診療報酬として点数化する必要があるため、「医療用漢方製剤」として処方されています。つまり、患者各々の証に合わせた薬ではなく、処方薬はすべて同量同品質の「エキス製剤」です。
(写真:おなじみのツムラ1番「葛根湯」)
(2)漢方薬とは?
本来であれば、漢方薬は患者の状態(東洋医学では「証立て」といいます)に応じて、複数の生薬を調整して組み合わせて処方していくため、患者ごとに処方される漢方薬は異なります。薬研(やげん)と呼ばれる道具(一種のすり鉢)で生薬を粉状に砕き、秤で生薬を計量して調合して粉末薬や煎じ薬にしていきます。
端的に言えば、生薬自体の組み合わせは症状(証)に対応していますが、患者個々の病に応じている訳ではないため、効果は患者により個体差が生じることになります。また、処方する医師にも漢方(東洋医学)の知識や診断の差もあり、「証立て」ではなく、「症状」で処方するケースも多いため、患者の病に対して最良の「漢方製剤」を処方しているとは言えません。
病院ではなく、漢方専門薬局では薬剤師により証立てによる漢方薬の処方が可能です。しかし、この場合の漢方薬はエキス製剤よりも高い効果が期待できますが、健康保険適応外となるため、とても高価なものとなります。
(3)漢方薬と鍼灸のちがい
中医学と呼ばれる現在の中国の東洋医学療法(湯液(漢方薬は中国では湯液と呼ばれます)や鍼灸など)では、診断(証立て)までは同じ方法で行います。治療方法として、身体の中からアプローチする(漢方薬)か、身体の外側からアプローチする(鍼灸)かという違いです。鍼灸では、漢方薬における生薬の組み合わせが、経穴(ツボ)の配穴(組み合わせ)に対応するものです。結局、鍼灸も漢方も治療の本質のそのものは同じものなのです。
補足すると、残念ながら、鍼灸治療は健康保険適応にはなっていません。鍼灸治療を行っている医療機関(病院)もありますが、保険適応ではないため、別診療(自由診療=実費払い)となり、医療機関によって様々な制約があります。
(4)漢方薬の豆情報
148種類の保険適用漢方製剤のうち、ツムラは129種類を製造しており、医療用漢方製剤市場のシェアでは83%をツムラが占め、次いでクラシエが10%、残り7%を数社が分け合っている状況です。なお、一般漢方製剤(保険適応ではなく、ドラッグストアで購入できる2類医薬品)のシェアでは、クラシエが30%、小林製薬が11%、ロート製薬8%、ツムラ5%などとなっています。
理療科で独自編集した冊子『漢方薬の基礎知識』を予診室に置いてあります。ツムラの漢方製剤(128種類)を中心に、配合生薬の薬効なども記載しています。病院で処方された漢方薬をもう少し詳しく知りたい、こんな症状の時にはどんな漢方薬がいいのか、などの時にご活用いただければ。
お気軽に理療科にご相談ください。
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