理療科けんこう通信10月号
理療科けんこう通信 2024年10月号
編集・発行 福島県立視覚支援学校 理療科
今月のツボ
万能のツボで冷えと疲労解消?
湧泉(ゆうせん)
取り方:湧泉は足底の土踏まずにあり、親指側と小指側のふくらみが交わる場所にあります。指を曲げた際に凹んだら、そこが湧泉です。
①生命力が泉のように湧くところという意味を持っており、元気が出る経穴としても知られています。
②湧泉を刺激することは頭痛や喉の痛み、高血圧に効果があるだけではなく、血液の循環をよくするため、足の冷えや疲れ、むくみなどにも効果が期待されます。寒くなるこれからの季節、冷えの解消にお試しください。
(湧泉の写真)
(トピック1)
足ツボはツボじゃない?
足のマッサージといえば、「足ツボ」という言葉を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、一般的に言われる「足ツボ」は実は東洋医学で使われるツボ(経絡経穴)とは全く異なるものだという話はご存知でしょうか?
実は、経絡経穴では足底には上記で紹介したツボ「湧泉」しか存在しません。一般に足ツボと呼ばれているのは反射区という考え方です。
ツボはWHOで認められている
ツボにはWHO(世界保健機構)で認められているものと、そうではない奇穴と呼ばれるものがあります。WHOで認められているのは361ヶ所です。
ちなみにダイエット効果があるなどと言われている耳つぼは、一つもWHOから認められていません。
反射区は西洋生まれ
足を施術する事自体は古く紀元前から行われてきました。
しかし、足裏のどこを刺激すると身体のどこに影響が出るのか、という仕組みが解明されて世に広まったのは20世紀初頭のこと。
アメリカの医師が基礎となる研究結果を発表して、それを受けて同じくアメリカの理学療法士がさらに研究を重ねた結果、現在広く知られている反射区(足ツボ)が解明されました。反射区を施術する手技を、リフレクソロジーと言います。
経穴と反射区の違い
経穴は場所によっては万能ツボと呼ばれて複数の部位や症状に働きかけることができます。
一方、反射区は基本的に対応した臓器や部位にのみ対応しています。
また、経穴は全身に存在しますが、反射区は足と手のみとなります。
手にも足と同じ反射区があります。
足裏を押されて、「胃が悪い」とか「肝臓が悪い」とか、「ストレスが溜まっているお疲れかも・・・」などと言われると不安になる方もいるかもしれませんが、足裏だけ全身の状態を把握するのは難しいと思います。健康のことで不安があれば是非担当の施術者にご相談ください。
(トピック2)
鍼ってなぜ効くの?
鍼がなぜ効くのかということはまだ充分に解明されていません。しかし、様々な実験や検証により、その生理学的メカニズムは次のようなことが考えられます。
どうして鍼を刺すと「コリ」がとれるの?
血行の促進、血流の改善について
鍼を刺した場所では刺激を受けた神経の反応による軸索反射という現象が起きます。この反射作用で末梢血管の拡張が起こり、血行が良くなります。これにより筋緊張(コリ)となっていた部分の血液の流れが改善され、疲労物質や痛みがなくなり、コリがほぐれていくのです。
どうして鍼で痛みが消えるの?
痛みが和らぐメカニズムについて
生体には痛みを和らげるシステムがいくつか存在しています。
脳内で起きていること
~下行性痛覚抑制系と鎮痛物質~
鍼を刺すと刺激が脳に伝えられます。すると今度は脳から鍼を刺した部位に向かって痛みを抑制する逆向きの信号が送られます(下行性痛覚抑制系)。
その生体反応では、体内で様々な鎮痛物質が出て、痛む部分の痛覚の伝導を遮断し、痛みを和らげるのです。
鍼を刺した場所(局所)で起きていること
(1)ゲート・コントロールによる鎮痛
体表の太い神経が痛みを伝える細い神経の経路に先回りして、痛みを脳や脊髄に伝える前に遮断するというメカニズム(ゲート・コントロール説)があります。いわゆる怪我をした子供をあやすおまじない「痛いの、痛いの、飛んでけ~」は、唱えながら体表をさすると痛みが和らぐというものですが、実は
科学的にはこのメカニズムと同じなのです。鍼の刺激も同様に痛みの経路を遮断してるのです。
(2)軸索反射による鎮痛
鍼を刺した局所の血行を良くする軸索反射では、同時に鎮痛物質を出して、炎症などが起きている部位の痛みを和らげているのです。
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